Case Study

仮想データ統合ツール「DYNATREK®」を用いて全営業店が活用するマネジメントシステムを構築
左より 池田祐爾氏、花谷知親氏、渡辺浩明氏、小野敬広氏、岡本俊彬氏
事例概要
中国銀行では、2022 年度までの中期経営計画の目標に「行員の意識改革」「営業マネジメントの強化」を掲げ、従来の業績表彰制度から営業店の自主目標制度への改革を進めている。そこでカギを握る営業店の収益や営業活動の現状把握や戦略立案・遂行を支援するデータ分析基盤の構築を検討。豊富な導入実績や自行の要望を満たす提案などを踏まえて、DYNATREK の導入を決断。2020 年 11 月からシステム構築に着手し、2021 年 4 月には全営業店での本格稼働を開始した。目標進捗管理から活動管理、日々の訪問リスト抽出などに至るまで、営業店のマネジメントに必要な情報をワンストップで提供する。帳票の追加開発などは行内で内製化できる体制も整え、今後も継続的にシステムの拡充を進めていく。

001

システム導入に至る背景

中期経営計画で掲げた
組織改革の実現を目指す

岡山県岡山市に本店を置く中国銀行は、総預金残高が約7兆5,000億円、従業員数は約2,800人、国内外に本支店併せて151拠点を構える(2021年3月末時点)。大規模な製造業や小売り、農業など、地域毎に歴史と特色のある産業が根付く地域を対象に「地域のお客さまに選ばれ信頼される銀行」を目指している。

同行では、2027年までの長期経営計画「Vision2027 未来共創プラン」を掲げ、その一環として2020年度からは中期経営計画「未来共創プラン ステージII」を展開中だ。

中国銀行 営業統括部 次長 渡辺浩明氏は「現在の中期経営計画では、現状把握と課題認識による行員の意識改革、営業マネジメントの強化を目標に掲げています。また、従来の業績表彰制度を刷新し、2021年度下半期には営業店による自主目標の策定に向けた制度変更を予定しています。自主目標制度で目指す姿は、営業店や行員一人ひとりが営業店や地域・お客さまの状況に関するデータを確認し、それを活用して自らアクションを起こす体制を構築することです」と語る。

2021年6月、中国銀行では担当ブロックを再編して全ブロックに地区本部を設置。地区本部でのエリア戦略や戦術策定が可能な体制を整備し、営業店と地区本部の対話を通じた、より地域に密着した戦略・目標の策定と遂行を目指すことになった。

同行 営業統括部 調査役 小野敬広氏は「自発的・主体的な営業体制を実現するためには、行員自らが自身の営業活動の課題に気づいたり、正確に現状を把握することが重要です。また、課題解決に向けた今後の展望を考える際には、本部と営業店や、営業店内での双方向のコミュニケーションを活性化させる必要がありました」と説明する。

さらに、営業店ユーザーがデータ分析や帳票作成をする場合、個々のPCスキルに依存し、時間がかかることが予想された。システム化によって、それらの業務を自動化、省略化できる仕組みを求めていたという。

また、営業店自らが行内の情報システムを横断して分析したり、営業店内や営業店と本部が共通のデータを確認しながらコミュニケーションを深める体制の必要性を認識。その実現に向けて、中国銀行では営業店の収益や営業活動の現状把握や戦略立案・遂行を支援するシステムの構築を決定することになった。

002

システム導入の経緯

豊富な導入実績や
課題解決に向けた
具体的な提案が決め手に

システム導入に当たり、中国銀行では「半年以内にスピーディーにシステムを構築する」ことを重視した。これは、自主目標制度の開始に向けて、2021年度初頭からシステム運用を開始する必要があったからだ。また、稼働後は営業店のニーズに合わせてコンテンツの随時変更や追加ができるようにするため、行内で内製化可能なシステムであることが求められていた。

これらの要件を満たす基盤を検討した結果、中国銀行は株式会社ダイナトレックが提供する仮想データ統合ツール「DYNATREK」の導入を決断した。その選定理由について、営業統括部 調査役 小野敬広氏は「地方銀行での豊富な導入実績があること」「導入前の情報提供の段階で自行の課題解決につながる具体的な提案があったこと」を挙げる。

「ダイナトレックのユーザー会議にもオブザーバーとして参加し、導入行からヒアリングを実施しました。『銀行業務に即したコンサルティングやサポートの質が高い』という評価を聞き、ぜひ当行でも採用したいと考えました」と小野氏は語る。

中国銀行は2020年11月からシステムの要件定義に着手。ダイナトレックが提案段階で作成したデモ画面をベースに、直感的な操作を可能にするボタン配置や画面導線を構築した。その段階で「多機能性と簡易性を両立できる優れたUI(ユーザーインターフェース)」が評価された。また、サーバやシステムの運用設定を急ピッチで進め、2021年3月には10拠点での試行を経て機能をブラッシュアップし、全営業店での本格運用を同年4月に開始した。

短期間でプロジェクトが完遂できた要因として、「ダイナトレックの導入支援チームが地方銀行のデータ資産や業務内容にも精通していて、円滑なコミュニケーションがあった」ことや「中国銀行の既存のシステム基盤と接続実績がある」ことが挙げられる。

003

システム導入の効果①

営業店での収益・実績管理や
案件管理を自動化
報告集計業務の工数を削減

導入後、中国銀行の営業店などのユーザーからはどのような反応があったのだろうか。営業統括部 調査役 花谷知親氏は「報告・集計業務といった営業店の実績管理が非常に楽になったという声が一番多く寄せられています」と語る。

花谷氏によると、従来はExcelが得意な担当者が作成した営業店ごとの独自の管理表フォーマットが用いられ、代々引き継がれて使用されていたという。さらに、多くの店舗では推進項目ごとに担当者が集計業務に対応していたが、非常に労力を伴う作業であり、そうした負荷の軽減も急務だった。

また、本部から還元される実績表については、主に営業店別にサマリされた情報が多く、「なぜ今月は先月と比べて数字が上がった(下がった)のか」といった疑問を明らかにするためには、明細情報を合わせて還元してほしいというニーズが強かった。

DYNATREKの導入によって、こうした課題が解決されている。たとえば、DYNATREKのドリルダウン機能を活用することで、担当者別の集計や個別案件の進捗状況などデータの深掘りが可能になった。また、それらの詳細なデータを基に自動的に計数還元を可能にする仕組みを整備した。

「営業店の手作業での管理表作成が不要になり、集計業務が自動化されたことで、お客さまと接する時間をより多く確保することが可能になりました」(花谷氏)。

004

システム導入の効果②

進捗状況の「見える化」で
行内のコミュニケーションが
さらに活発に

営業マネジメントの強化という観点でのDYNATREKの導入効果について、中国銀行 営業統括部 調査役 小野敬広氏は、「営業活動の改善につながる各種データの相関性を把握することにも役立っています」と説明する。

小野氏によれば、導入前も「実績」「案件」「活動」などのデータは営業店に還元されていたが、それぞれが個別に集計・管理されており、データ間の相関性の分析は難しかったという。DYNATREKを活用してデータ統合や可視化を実現したことで、データ間の相関分析が可能になり、営業担当者だけでなく、上席や店内での共有も容易になった。

「営業活動の現状から課題を発見したり、進捗状況から将来的な結果の予測が可能になりました。また、詳細に可視化されたことで、その根本原因が『量』なのか『質』なのか、担当者のスキルにあるのかが発見しやすくなりました。活動状況を把握した上で、営業担当者に新しい訪問先をアドバイスするなど、上席やチームメンバーが関与する効果的な改善策の立案にも貢献しています」(小野氏)。

さらに、中国銀行が課題として掲げていた「行員の意識改革」にも着実につながっている。営業統括部 調査役 岡本俊彬氏は、その一例として、CRMシステムへの案件情報の登録作業を挙げる。従来、CRMに「仕掛中の案件」を入力する習慣が浸透しないという課題があり、営業統括部はDYNATREK導入の半年前から案件登録の徹底を周知。ビデオコンテンツなどを活用し、案件登録の重要性を訴求した。

「DYNATREK導入後は、手作業での管理業務が削減されたことに加え、発掘フェーズの案件登録も増えました。さらに、担当者のみが把握していた案件についても、店内で共有できる環境が整いました」と岡本氏は説明する。

また、店舗や担当の目標を達成するために「今後どのような取り組みが必要か」を議論する機会が増え、各営業店ではお客さまへのより良い提案を模索する場面が増えている。他店舗の進捗状況が共有されることも刺激となり、本部と連携したアクションプランの協議が的確な営業活動の展開に役立っているという。

005

システム定着化のコツ

システム利用の付加価値を高め
スピーディーな内製化を実現

中国銀行では2021年4月の本格稼働以降、営業統括部を中心に継続的なコンテンツ拡充を進めている。同年7月には営業統括部にて自主目標用の帳票を公開するなど、行内での内製化が着実に進んでいるという。

行内の内製化・定着化への取り組みについて、営業統括部 営業戦略グループ 池田祐爾氏は次のように説明する。
「まず当行では既存帳票を優先的にシステム移行することで、全行員がDYNATREKに慣れるよう意識しました。既存帳票は行内の計上基準として浸透しているため、それをスムーズに移行することでシステムの利用頻度を高め、定着化を進めています」

全行員が日常的に使うツールとしての役割を確立した上で、DYNATREKならではの、より付加価値の高い情報提供にも取り組んでいる。たとえば、従来は店別で提供されていた帳票を顧客別に深掘りする機能や、顧客別の交渉履歴に展開する機能を追加し、今後の営業方針の検討をサポートしている。

さらに池田氏は、「自主目標の策定時の機能として、今期登録した案件を積み上げて見込み予測を自動的に算出する仕組みを構築しました。ユーザー自らが担当者・顧客別などの観点で容易に分解できるなど、使い勝手の良さが喜ばれています」と手応えを示す。

中国銀行では、帳票のビジュアルや動線設計を営業店ユーザーと普段からやり取りをしている業務担当者が担い、データ取得ロジックなどの処理部分を営業統括部内のデータに詳しい担当者が対応する体制を整備。それぞれの得意分野を生かしながら、スピーディーな内製化を実現している。

006

今後の展望

マネジメント手法の標準化や
マネジメント人材の育成にも注力

ここまで紹介してきたように、中国銀行では地域の特性に応じた営業戦略の立案と遂行のためにデータ分析の高度化を着実に進めており、中期経営計画の目標実現のエンジンとしてDYNATREKを活用している。

今後の活用の展望について、営業統括部 次長 渡辺浩明氏は「営業店の要望を踏まえながら、現場の営業力の向上につながるコンテンツの充実を図っていきたいです」と語る。

また、全営業店で閲覧する帳票などのデータ活用方法を共通化したことで、「一方的に教えるティーチングではなく、一緒になって考えるコーチングという方向性を重視します。上司から部下に対する営業活動におけるマネジメント手法の標準化やマネジメント人材の育成にも着手していきたいです」との見解を示した。

渡辺氏は、「昨今の地方銀行を取り巻く環境は、正解が見つけにくい市場環境ではないかと捉えています。そのような環境の中で、地方銀行が担う役割でもある地域のポテンシャルを引き出すためには、各営業店が自ら考えて、きめの細かい営業活動を展開することが重要だと考えています。その基盤となるITシステムこそがDYNATREKであり、システムの早期立ち上げや内製化によるコンテンツ拡充、そして本支店間のコミュニケーションの活性化に役立てていきます」と語る。

その上で「DYNATREKは、データを視認性高く可視化したり、気づきを与えることにも優れています。また、実績状況や活動状況などを迅速に把握でき、その傾向やノウハウなども共有可能です。当行が掲げる中期経営計画の目標を達成するために必要なマネジメントの標準化やコミュニケーションの変革などを実現するためには、非常に有効なツールだと考えています」と評価した。

企業情報
岡山県を中心に、広範な中国地方を主要な営業基盤とする日本有数の地方銀行。国内外で151拠点を構え、2,792人の従業員数を擁する(2021年3月末時点)。

「自主健全経営を貫き、ゆるぎない信頼と卓越した総合金融サービスで、地域社会とともに発展する」を経営理念に掲げ、1930年(昭和5年)設立以来、常に地域社会とともに歩んできた。現在は、豊かな未来を共創するために「お客さま本位の営業スタイル」を貫き、「地域のお客さまに選ばれ信頼される銀行」を目指している。

さらに詳しい
製品のご説明資料を
ダウンロードいただけます

DATA INTEGRATION ANALYSIS TOOLS

プロダクトの概要や
導入事例が知りたい

オンラインで
デモを見たい

より詳しく
話を聞きたい